万代総合歯科診療所 群馬県前橋市の歯科医院

書き起こし

皆さんこんにちは 万代総合歯科診療所のビデオコラム にようこそおいでくださいました。 本日は『 重曹の使用はむし歯予防に有効か？ 』というテーマでお伝えしようと思います。 皆様の中には、虫歯予防のために重曹を水に溶かして これでうがいをするという方法を実践されておられる方も いらっしゃるかと思います。 最近はネット上で『 新常識 』とか『 重曹が虫歯予防に効果絶大 』というような表現を見かけることあります。 今回は、重曹の虫歯予防への有効性について解説していきたいと思います。 虫歯になるメカニズムをおさらいしていきたいと思います。 虫歯は口腔内の虫歯を引き起こす菌、１種類だけじゃなくて数種類います。 これが摂取した糖分、ご飯も含めた炭水化物や糖質ですが、この菌が糖質を摂取して酸を出すと、この酸に歯が溶かされていって虫歯になる、というのが虫歯のメカニズムです。 重曹の効果というのはどういうことか と言いますと、重曹は pH が 8.5の弱アルカリ性になります。 虫歯を引き起こす菌から出された酸を中和させる効果があるということで、理論上は虫歯予防の効果が期待できるということになると思います。 しかし、唾液には『 緩衝能 』と言いまして 酸とかアルカリのものがお口の中に入ってくると、唾液の中の緩衝能という能力によって中性の方向に持っていく能力があります。 従いまして重曹を入れて弱アルカリ性にしたところで、結局は唾液の緩衝能によって中性に戻されてしまうということは、私としては疑問に感じるところがあります。 また、虫歯予防に効果があるということを立証するには、例えばどのくらいの濃度に到達すると虫歯予防の効果が出てくるのか とか 逆にこれ以上濃くすると危険な濃度はどのくらいなのか、この丁度いいゾーンで長期的にそれを継続して使っていいのかというような研究データがないので、これは効きますよとか安全ですよということを言うわけにはいかなくなってしまいます。 現時点で今2018年の11月では、それを立証する十分な研究データはないので、従いまして歯科医療側からこれを積極的に進めるということは通常は考えられない、と解釈して頂いてよろしいと思います。 また 重曹使用による結果、すなわち 良くなった場合はいいかもしれませんが、何らかの問題が起きた場合でも これは全て自己責任と指摘せざるを得なくなります。 重曹を虫歯予防に積極的に使用している方の中には、例えば『 歯磨きは大雑把だけど重曹だけはしっかりやる 』とか『 私は重曹うがいをしてるから甘い物食べ放題だ 』とかというような本末転倒のやり方、すなわち従来からある科学的に立証された予防法をないがしろにして、リスクがあるかもしれない新しいと言われた重曹による虫歯予防法なるものに飛びついてしまっている方を見かけることがありました。 重曹を使う使わないに関わらず、1番目としましては『 歯磨きそのもの 』、２番目としましては『 糖質摂取の管理 』、詳しいことは言いません『 ステファンカーブ 』で検索していただければ宜しいかと思います、３番目としましては『 フッ素の応用 』、この３つはしっかりやって頂いて、その上で 重曹を使うことは自己責任の中でおやりになるのには引き止めることはない、という事になるのかと思います。 ただ 大半の形は重曹を使わなくても、虫歯予防は今申し上げた３つのことをやれば十分達成できるはずであると解釈しております。 本日は『 重曹の使用は 虫歯予防に有効か 』というテーマでお伝えしました。