インプラント治療のメリット
歯を失った後は、どのようにするのか
インプラント治療がもたらす多くの恩恵
インプラント治療は、義歯に対しては
- 義歯のような取り外しが不要になる。
- 義歯を入れているときの違和感がなくなる。
- 義歯における“沈み込む”ような噛みごこちではなく、自身の歯のようにしっかりと噛める。
- 発音時の違和感の解消。
- 残存している歯が破折(割れて)してしまうことを防止する。
ブリッジに対しては
- 欠損部の両隣の歯を削らずにすむ。
- 欠損部の両隣の歯と連結しないので個々の歯の独立性が保たれる。
- 欠損部の両隣の歯への力学的な過重負担による、歯牙破折(割れて)してしまうことを防止する。
以上のような多くのメリットをもたらしてくれます。多少大掛かりになりますが、無歯顎(歯が1本もない状態)の方でもインプラント治療によって入れ歯が全く不要になるようにすることもできます。
インプラント治療と自家歯牙移植術とを比較した場合総合的には、いずれかが優位に立つことはありません。
インプラント治療を行うための条件よりも、自家歯牙移植術を行うための条件のほうが厳しくなることや長期的予後(長持ちの程度)は統計的にインプラント治療のほうが優位であるようですが、インプラント治療も自家歯牙移植術も両方行える条件下にあれば「歯が植わるのか、チタンのネジが植わるのか?」という選択肢を迷う方はいないと思います。
自家歯牙移植術を成功させるには、歯を抜かずに残すための最終手段である「根管治療」と「歯周病治療」を両方とも的確にできる歯科医師のもとで施術を受けるがことが最低条件となります。
したがって、「根管治療」と「歯周病治療」の両方を的確に施術できる歯科医師は『自家歯牙移植術は長持ちしないからダメ』などと、開口一番に自家歯牙移植術を否定することはしないでしょう。
インプラントで“噛める”ことによって
さらに、ただ「噛めるようになる」ことのみならず、なんといっても入れ歯から連想される特有の『年寄りっぽい』というイメージから自身が開放されることによる『いつまでも若々しく』といったアンチエイジング(Anti-Aging)の向上、さらには「今後の自身の人生をいかにすばらしいものにするか」というクオリティ・オブ・ライフ(Quality-Of-Life)を語る上でインプラント治療の効果は絶大なものになります。
多くの方がインプラント治療を選択するようになってきています
上記のような「インプラント治療がいかにすばらしいものであるのか」を、すでに何らかの手段ですでに調べてきた方もいると思います。万代総合歯科診療所においても『硬いものでも、しっかりと噛みたい』『いつまでも若々しくいたい』『今後の人生を豊かなものにしたい』と要望されて、自身の歯を失ってしまったところの欠損補綴にインプラント治療を選択される方が増えてきています。
不幸にも歯を失った方が万代総合歯科診療所にてインプラント治療を受けた後、硬いものでもしっかりと噛めるようになって若々しさを取り戻し、充実感に満ちた笑顔を見せてくださる度に「歯科医冥利に尽きる」という事を実感しています。
インプラント治療のデメリット
インプラント治療のデメリットとして、
- 手術の負担の問題
- 治療期間の長期化の問題
- 費用の高額化の問題
当院も含め、静脈内鎮静法という安心しながら施術を受ける方法を採用している歯科医院もあります。
治療期間の長期化や費用の高額化の問題に関しては、前述したインプラント治療後の恩恵が得られる事を考慮していただければやむを得ない負担と解釈していただく必要があります。
ただこれとは別に、インプラント治療には「馬鹿正直な歯科医師しか患者に伝えない重大な欠点」があります。
最大の欠点とは
インプラント治療の最大の欠点は、「歯を失うことの問題点や今までのブリッジや義歯における欠点をインプラント治療がほぼ克服してしまうので、患者も、そして歯科医師も“歯がダメになったら抜いてインプラントにすればいい”という安易な考えに陥り、1本の歯をなるべく抜かずに残すことの大切さを忘れてしまう」ということなのです。
インプラントは 『自身の歯ではない』『歯を抜いた後の話』ということを本当に理解していますか?
インプラント治療の歯科医学的な位置づけを理解せずに、「インプラント治療がいかにすばらしいものであるか」という情報だけを得て安易にインプラント治療を受けたために1本、また1本と抜歯⇒インプラント治療を受けている患者さん自身も、途中で「何か違わないか…」と薄々は感じつつ、やっと上記の欠点に気づいたときには時すでに遅く「自身の歯がなくなってインプラントだらけ…」となってしまっている方もいるのです。
インプラント治療の歯科医学的な位置づけは、「抜歯の後に、入れ歯やブリッジにならずに済んでいる」ということに過ぎず、自身の歯を失っていることは何ら変わっていないのです。インプラント治療はあくまでも歯がダメになって抜いた後の治療法なのです。
実に軽く考えている現状
最近、インプラント治療のメリットの情報を聞きつけて安易に「抜いてインプラントにしてください」という方が増えています。
「歯を抜かずに残す」処置を講じたにもかかわらず、どうしても万策尽きてダメになってしまったのであれば、これを選択するのも仕方がないとしても、歯を抜いてインプラントにするよりも、“歯を極力抜かずに残す”事のほうが何倍も重要なのだと理解して頂きたいのです。
歯ではなく手や足だったら…
皆様は足を大ケガしたからといって、『足を切断して義足に交換してください』と安易に整形外科医に依頼しますか?ほとんどの方が「冗談じゃない!!」と答えるでしょう。
では“歩ける・走れる、なおかつ皮膚感覚を持つ違和感の無い義足”が開発されたらどうですか?『それほどのすばらしい義足が開発されたのであれば、足を切断して義足に交換してください』と整形外科医に依頼しますか?
私なら「ムリをして切断せずに足を残そうとすると、かえって全く歩けなくなってしまったり、腰や反対側の足にも悪影響が出てしまうのであれば切断⇒義足もやむをえないか…」と思いますが、今後多少足を引きずることになってしまう程度の後遺症であるのならば、それを受け入れてでも自身の足で歩きたいと思います。
これと同じで
私なら「ムリをして抜歯せずに歯を残そうとすると、かえって全く噛めなくなってしまったり、後になって、周囲の組織や噛み合う相手の歯にも多大な悪影響が出てしまう」のであれば、抜歯⇒インプラント治療もやむをえないと思いますが、今後その歯があまり長持ちしなかったとしてもそれを受け入れて、ホントにダメになる日までは自身の歯で噛みたいと思います。その後、インプラント治療を受ければいいのです。
例外として…
比較的高齢の方に対してですが、
- 数年しか持たないと承知の上で、全力を尽くしてその歯を抜かずに残した。
- 数年後、とうとう限界がきて抜歯になった。
- この欠損部にインプラント治療を行おうにも、今となっては体力的にインプラント治療が受けられない
- 1.の時点でインプラント治療にしておけばよかった…。
というシナリオになりそうな方は、早めに抜歯してインプラント治療にしておくほうがいいかもしれません。担当の先生とよく相談するようにして下さい。
歯は、なまじ28本もあるので(親知らず除く)
インプラントは、義足であれば“歩けて走れて、なおかつ皮膚感覚を持つ違和感のない義足”に近い能力を持っています。足は2本しかありませんから、「足を1本でも失うことへの抵抗感」は大きいものでしょうが、「歯を1本でも失うことの抵抗感」は皆様の意識として、実に軽く考えられている傾向にあります。
歯科医師までもが…
「当院ではインプラント治療に力を入れています!!」と謳う歯科医院の中には、大変残念な話ですが、その歯が抜かずに残せるかどうかという状態になった場合(特に根管治療において)「歯を残すための治療が面倒くさいし、保険診療では一所懸命やればやるほど儲からない」との理由で、簡単に歯を抜いてしまってインプラント治療を勧めている歯科医院も実在します。
その歯科医院が歯を極力抜かずに残すために、日頃の予防管理や、然るべき治療介入を全力で行ったうえで、それでも万策尽きて抜歯をせざるを得なくなったところに対しては、インプラント治療を行うという前提で行ったインプラント治療であれば問題ない(やむをえない)のですが、歯を抜かずに残すための処置を全力で行うこともせずに簡単に歯を抜いてしまってインプラント治療を行えば、その歯科医院におけるインプラント治療の年間症例件数実績や年間埋入本数実績が増えていくのは当然のことです。
さらには
歯科医学的には抜かずに十分残せる歯でも、いとも簡単に抜歯をしてインプラント治療を行っている症例が歯科医師向けの臨床セミナーや研修会において公然と発表されている現実があります。
ちょっと前までは、抜かずに十分残せる歯でも抜歯をしてインプラント治療を行った症例には「モラルの欠落」として批判の集中砲火が浴びせられていたのですが、最近では「よくあること」という風潮に変わっているような気がしてなりません。抜歯の基準が合理的主義のアメリカ型に移行しているようですが、日本人の誇りである「もったいない」は、こんなところでも風化しつつあるようです。
皆様が歯科医院を選ぶ必要があります
歯科医学的には抜かずに十分残せる歯でも、いとも簡単に抜歯をしてインプラント治療を行っている症例が歯科医師向けの臨床セミナーや研修会において公然と発表されている現実があります。
ちょっと前までは、抜かずに十分残せる歯でも抜歯をしてインプラント治療を行った症例には「モラルの欠落」として批判の集中砲火が浴びせられていたのですが、最近では「よくあること」という風潮に変わっているような気がしてなりません。抜歯の基準が合理的主義のアメリカ型に移行しているようですが、日本人の誇りである「もったいない」は、こんなところでも風化しつつあるようです。
したがって、「さっさと抜いてインプラント」の方針の歯科医院か、「1本の歯を抜かずに残す努力をして、どうしてもダメならインプラント」と考える歯科医院か、どちらを選ぶのかは、患者である皆様に選択の「自由と責任」が委ねられることになります。