歯周病治療において重要な要素
予防管理と早期発見・早期治療
歯周病の治療には予防管理と早期発見・早期治療が重要です。歯周病とは、前述のように、細菌の感染によって歯肉が炎症を引き起こし、歯牙を支える歯槽骨が破壊・喪失し歯槽骨の支えを失った歯牙が、動揺(歯牙が常識範囲以上に動くこと)・脱落を引き起こす病気です。
通常 “治癒” というのは
- 歯肉の腫れ、出血が改善され
- 冷たいものが全くしみなくなって(知覚過敏の消失)
- 喪失した歯槽骨も元の量までに回復し
- 歯牙も歯槽骨の支えを回復して動揺も無くなって、しっかりと噛みしめられるようになる
など、「歯周病の病的な歯肉や歯槽骨などが、歯周病に罹患する以前の、ほぼ完全な健康状態に回復する」と考えるのが普通です。ところが実際はそうはいきません。
- 的確な治療と予防管理を行えば、歯肉の腫れ、出血はほぼ無くなり、歯肉は引き締まってきます。
- 知覚過敏は、多くの場合収束に向かいます。
- しかしながら一旦喪失した歯槽骨は、残念ながらほぼ回復は見込めません。後述の歯周組織再生療法も“魔法の治療法”ではなく、好条件が揃っていないとうまくいきません。
- 動揺は歯肉の引き締まりによって多少おさまることもありますが、歯槽骨の回復がほぼ見込めませんので残ったわずかの歯槽骨の支えでは動揺はおさまりきれず、やむなく虫歯でもない歯牙を全周囲的に削ってでも連結の冠(かぶせ物)を装着してラグビーのスクラムのようにガッチリと固定を行うことも、重症の歯周病の場合には必要になる場合があります。
また歯周病治療も含めた口腔内全体としての総合歯科治療を行うには、重症なほど歯科医師に高度の治療技術が要求されます。
皆様へのお願い

歯周病の進行を指摘された場合は、速やかにその治療を受け、その後歯科医院の提案する間隔での定期検診を受けて下さい。自覚症状のある方は どうか一刻も早く歯科医院を受診して下さい。たとえあなたの歯周病が重症だったとしても、その影響を早いうちにくいとめたいのです。不安もあるでしょうが、どうか勇気を持って歯科医院を受診して下さい。患者さんによっては、それなりの大変な思いもしてもらうこともありますが、インプラントや義歯(入れ歯)にもならずにしっかりと噛み締められるようになります。
歯周病対策は、まずは「ならないこと」つまり予防や定期検診が大事です。歯周病に罹患している、または罹患していそうだという方は、早期発見・早期治療が可能なうちにご相談ください。